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2014.09.26 15:56

milkです。


お久しぶりです。
誰かが来てくれているみたいで、訪問者0の日は1か月に数日。
読んでくれているのかな…ありがとうございます。嬉しいな。


書き始めたのには理由があって、
書き始めたのに今日はまっすーの舞台の初日っていう、
書き始めたからには書かなくちゃって気持ちと、
書き始めたことと舞台が錯綜して台無しだって葛藤と、
本当にバツが悪いどころじゃありません。


続きのお話は、加藤シゲアキ先生の読み切り小説「染色」がトリガー。
わたしにも似たような経験がある小説は、色よりも臭いが蘇りました。

どこまで書けるか、推敲無しで書き殴ってみます(笑)
半分が本当のお話、半分が着色です。
どこが本当で、どこが着色か、今度一緒にお話ししましょ。


では、続きをどうぞ…








パレット#01 〜palette#01〜


深夜のバンド練習、今日はテスト明けのせいか散々だった。わたしは頭の中で対位法の宿題のバイト代を計算しながら鍵盤をたたいた。
おまけに、かんちゃんは眠そうで歌いながら寝ていたし、ししどっちのギターが無いせいか、ハイハットだけが耳にシャンシャン響いていた。

それでなくても心に栄養が欲しいのに…

そんな練習もスタジオの時計が1時を回ったところでお開きとなり、それぞれの機材を片付け始めた。
梨香はエフェクターをしまい終わると、車のキーを振り回す澤田に「これ持って」とばかりにケースを押し付け、かんちゃんを後部座席に押し込んだ。

「重てぇな…」
「あたしの愛ある楽器たちだもん、しょうがないじゃん」

駐車場の車に機材を積み込み終わると、梨香はするりと車に滑り込み、寝息を立てるかんちゃんにブランケットを掛けた。

「ねぇ、地図見てるけど…どこいくの?」
「ん?ギター借りに遥人んち」
「誰、それ?」
「それ…って、俺のバンドの元のメンバ」
「ふぅーん」

梨香はふくれっ面をしながら後部座席で頬杖をついて外を眺めた。ハンドルを握る澤田はエンジンに火を入れるとアクセルを踏んだ。
深夜の国道は大型トラックばかりが走り、前後を挟まれた時の1500ccの一般車は小さな箱車のようにおもちゃ扱いだった。

「かんちゃん、寝ちゃってるけど、どーすんの?」
「いいよ、俺んち泊めるから…」
「ふぅーん」

適当な答えを返す澤田はひとまず走ることしか考えていないらしかった。「いいよね、彼女だもんね…」ちょっぴり苦虫を噛みながら梨香は外を眺めつづけた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


40分も走り続けただろうか、車は小さなアパートの前で止まった。車の窓から見る限り築20年は経っていると思われた。

「梨香、行ってきてよ、コイツ起こすの面倒だから」
「えーっ、やだよー」
「澤田、行けばいいじゃん…あたし、女だから大丈夫だよ、かんちゃんのこと襲わないよ」
「ちげーよ、遥人がお前に会いたいってさ」
「なにそれ?」
「行けばわかるって…」
「そんな約束、知らないよー」
「知るわけねーだろーが」
「んじゃ、あたしが襲われたら責任とってよねー」
「2階の奥だから」
「はぁ~い」

梨香はひらひらと手を振りながら車を出ると、ギリギリと軋み音の数だけ階段を上って行った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


のぞき穴もベルも見当たらないドアは、あとからぬ塗装が少しはげかけているように見えた。

「ピンポーン!」

ベルが無いことをいいことに、ドアを叩きながら小さな声で歌ってみた。
返答無く3秒後くらいにドアが開き、粘土のようなねっとりとした臭い(におい)が流れてきた。

「どうぞ」

一言だけ梨香に放って、遥人と思われる人物は部屋の中に消えて行った。

「おじゃましまぁ~す」

少し低めの声で囁くようにつぶやくと、そっと靴を脱ぎ揃えた。

ギターを受け取る使命を忘れ、鼻腔から脳にじわじわと這い上がるような臭いに巻き取られるように部屋に向かっていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「…っう!」

粘土のようなねっとりとした臭いのは壁一面に吊るされた様々な絵から放たれていた。
どれも凹凸を持った、しかし、ほぼA4サイズのその絵は理解しがたいものばかりだった。

間接照明だけが照らし出すそれらの凸凹空間と、鼻腔に塗られるように這い上がる臭いにねじられる。
部屋に踏み込む度に嗚咽感が腹の底から湧きあがり、思わず右手で口を塞いで目を閉じた。

「どうしたの?」

遥人と思われる人物は不思議そうな顔で梨香を見つめた。

「と、トイレ…貸してください」

胃液を伴わない吐き気を押さえながら、やっとの思いで口を開いた。

「そこだよ」

梨香は頷く間もなく、遥人と思われる人物の指差す先に滑り込んだ。


「…っ!」

部屋よりも明るい散光ハダカ電球に照らされた個室のもまた、壁一面に様々な絵が吊るされていた。
梨香はへなへなと便器に座り込み、しばらくは何もできないまま両手で顔を覆って伏せた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


どれだけ時間が経過したかわからない…ドアを叩く音が意識をもたげてくれた。

「ね?大丈夫なの?」

イヤホンを差し込んだ耳に伝わるように、遥人と思われる人物の声が鼓膜をトントンと叩く。

「う、うん…でも、立てない」

梨香はゆっくりと顔を上げ、もう一度ぐるりと視線を回転させた。いや、クラクラしているだけなのだ。
すでに自分がどのような顔をしてどのような声を出しているかさえわからない。梨香はまた眼を閉じた。

「開けるよ?いい?」

梨香の返答を待たず、遥人と思われる人物はゆっくりとドアを開けると、ゆっくりとしゃがみこんで梨香を覗いた。


「抱っこ?それともキス?」
「!」

再び流れ込んできた粘土のようなねっとりとした臭いの中に、無表情に覗き込む遥人の囁く声が頬を撫でた。




(つづく)

いやぁ、思い出しますな。あんなことや、こんなこと。結局、連載になってしまいました。

まっすーの舞台を観たら、この連載は止まるかもしれないっす。感想、お待ちしています。




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